日本人の成人の80%以上が
かかっているといわれる歯周病。
その原因菌が作り出す「酪酸」が
アルツハイマー病を引き起こす一因になる可能性があるという。
◇脳の機能が徐々に失われていくアルツハイマー病
アルツハイマー病は認知症の一種で、
脳の神経細胞が徐々に死に、
脳の機能が失われていく病気だ。
国内に約500万人いる認知症患者の
6~7割を占めると考えられている。
発症後は平均10年で死に至る。
◇歯周病菌が作る「酪酸」が酸化ストレスを引き起こす
アルツハイマー病を発症する要因は
まだ完全に解明されていないが、
考えられている仮説の一つに、「酸化ストレス仮説」がある。
歯周病の原因菌「ジンジバリス菌」などが作る酪酸が細胞内に取り込まれると、
細胞に酸化ストレスを起こして壊してしまうことを明らかにしている。
◇歯周病の放置は厳禁
歯周病患者では、「歯周ポケット」と呼ばれる歯と歯肉の間から、
健康な人の10~20倍も酪酸が検出されるという。
落合特任教授は「歯周病巣の酪酸が長期間にわたって脳内に取り込まれれば、
アルツハイマー病を引き起こす一因になることは十分に考えられる。
歯周病はすぐに生死に関わる病気ではないので放っておく人が多いが、
重大な別の病気につながる可能性があることを忘れてはいけない。
早めに治療をすべきだ」と指摘する。